人とのつながり。「ひととなり」を知ればイイ感じ。

パートナーと良好な関係を築く秘訣とは?

パートナーと良好な関係を築く秘訣とは?

アバター画像

村井 真子

結婚やパートナーシップにおいて、価値観の違いは誰にでもあるものです。それが人間関係の自然な一部であるとはいえ、価値観の違いが原因で摩擦や衝突が生じることもしばしば。しかし、これを避けようとするよりも、「譲れない価値観」をお互いに尊重し、理解することで、より強固な関係を築くことができます。

1)パートナーとの価値観の違いが及ぼす影響とは?

結婚生活において、夫と妻の価値観が異なることはよくあることです。しかし、価値観の違いを適切に理解し合わないと、誤解や摩擦が生じ、関係に影響を及ぼす可能性があります。ここでは、価値観の違いが引き起こす典型的なトラブルの例を3つ挙げてみます。

例① お金に対する価値観の違い

夫は家計を貯蓄中心に管理したいと考えている一方で、妻は生活を楽しむためにお金を使うことに価値を置いている場合、消費と貯蓄のバランスについて争いが起こることがあります。これにより、経済的な意思決定がうまくいかず、不満が蓄積してしまうことがあります。

例② 子育て方針の違い

夫が「厳しく育てるべき」と考えている一方で、妻は「自由に育てたい」と感じている場合、子育てに関する意見の食い違いがトラブルを引き起こします。どちらが正しいかを争うことで、夫婦間のストレスが高まり、子どもにも影響が出てしまう可能性があります。

例③ 家事分担に対する価値観の違い

夫が「仕事が忙しいから家事は妻が主にやるべき」と考えているのに対し、妻は「共働きなので家事は平等に分担すべき」と考えている場合、家事の負担に関する不満が生じます。これにより、日常的なストレスが蓄積し、喧嘩の原因となることがあります。

これらの例からわかるように、価値観の違いを無視したり、相手の考えを尊重しないまま生活を続けると、関係に亀裂が生じる可能性が高まります。

2)パートナーとの関係を左右する「譲れない価値観」

「譲れない価値観」とは、自分にとって重要であり、譲歩できない価値観を言います。夫婦関係でいえばパートナーシップの中でもお互いに譲れない部分、つまり「ここは変えられない」と感じる部分のことです。譲れない価値観は個人によって異なり、何に重きを置きかは他人からみれば「なぜこんなことを重視するのだろう」と思うこともあります。この譲れない価値観は仕事観、家族との関係、子育ての方法、信仰、生活スタイルなど、人によって異なりますが、それを評価せずに受け入れることができるかどうか、あるいは気にしないで置くことができるか、という態度がパートナーシップ維持の秘訣になります。

例えば、例①の金銭感覚の事例では、夫は貯金がないことによって苦労した経験や、そのような経験をしている人が身近にいたかもしれません。もしくは、貯金そのものが快楽になるような経験や、堅実な両親の価値観が影響しているかもしれません。このような夫の場合、妻がちょっとした嗜好品を買うだけでも否定的にとらえたり、批判的に考えてしまう可能性があります。妻がこのような夫の譲れない価値観に対し、「仕方ないな、そういう価値観なんだな」と否定せずに受け入れられるか、それとも「ケチなのは恥だ」と考えるかで二人の関係性はまるで違ったものになるでしょう。

ここで大切なのは、単に相手の価値観を否定しないだけでなく、その価値観がどれほどパートナーにとって重要かを理解することです。ただし、このように相手にとって極めて重要な価値観が自分にとってどうしても受け入れがたい場合で、それを伝えても譲歩が得られない場合は、諦めてパートナーシップを解消したほうがよいこともあるでしょう。

3)パートナーシップに重要なソーシャルサポート

良好な関係を維持するために重要な要素として、「ソーシャルサポート」が挙げられます。ソーシャルサポートとは社会的関係の中でやりとりされる支援のことで、健康によい行動を続けやすくする効果や、ストレスを緩和したり、ストレスの原因にうまく対応できるようになるなどの効果を持っています。

ソーシャルサポートは心理学者のハウス(J. S. House)により、その内容によって次のように整理されています。

  • 情緒的サポート:共感や愛情の提供
  • 道具的サポート:形のある物やサービスの提供
  • 情報的サポート:問題の解決に必要なアドバイスや情報の提供
  • 評価的サポート:肯定的な評価の提供

情緒的サポート

感情面でのサポート、つまり「情緒的サポート」は、パートナーシップにおいて欠かせない要素です。パートナーが悩みや不安を抱えている時、ただ聞いてあげる、共感してあげることが情緒的サポートに該当します。情緒的サポートを通じて、相手が「自分は理解され、支えられている」と感じることが、安心感を生み、関係を深める鍵となります。

ここで重要なのは、「アクティブリスニング」という技術です。これは相手の話に集中し、適切にフィードバックを返しながら、感情を共有する方法です。話を途中で遮ったり、解決策を急いで提案するのではなく、相手の感情に寄り添い、ただ聞いてあげることが大切です。

道具的サポート

物理的に協力してくれたり、金銭的に援助してくれるようなサポートの仕方が道具的サポートです。このサポートは物理的に相手の負荷を減らすことができるので、例えば育児期に保育園の送迎を分担したり、日常生活における家事負担を分担することによって、パートナーシップの健全性を保つことができます。

例えば、共働きの場合、どちらか一方に家事の全てを任せるのではなく、できるだけ均等に分担することが重要です。また、疲れたときにはパートナーに代わって家事を手伝うなど、柔軟なサポート体制を整えることが理想です。このような道具的サポートがしっかりと機能することで、日常生活のストレスが軽減され、より感情的なつながりが強化されます。

情報的サポート

抱えている問題に対し、どのように対応すべきかといったアドバイスや相談機関を教えたり、助言をしてくれるなど情報面での支援することを情報的サポートと言います。これらは実際的な課題解決ではないものの、間接的な支援として重要です。

この支援を行う場合は、相手の主体性を尊重するということが重要です。アドバイスが押し付けにならないよう、求められたらアドバイスする、という姿勢を持つことを心がけましょう。

評価的サポート

仕事ぶりや業績など適切に評価するサポートのありかたを評価的サポートと言います。自分の行ったことについて周囲から認められれば、誰しも自己評価が高まり心理的に安定するものです。相手が自分を支えてくれるために行ってくれた配慮を含めたソーシャルサポート全般について気が付き、感謝の言葉を伝えることで夫婦のよい関係を維持することができるでしょう。

4)パートナーの価値観を尊重するための実践法

お互いの譲れない価値観を尊重するには、ただ口先で尊重すると言うだけでは不十分です。日々の生活の中で、その価値観がどのように行動に表れるかを理解し、支える姿勢が求められます。例えば、仕事に対する価値観が強いパートナーに対しては、キャリアの目標達成をサポートするための具体的な行動を示すことが大切です。

また、相手が自分と異なる価値観を持っていると感じた場合、すぐに批判や拒絶するのではなく、なぜその価値観が重要なのかを尋ね、理解しようとする姿勢が大切です。このプロセスを通じて、価値観の違いがただの摩擦ではなく、お互いを理解し合う機会になるのです。

パートナーシップを長く持続させるためには、譲れない価値観を尊重し合うことが欠かせません。ソーシャルサポートを意識することで、お互いを深く理解し合う関係を築くことができます。価値観の違いは決して関係の障害ではなく、それを超えてより強い絆を築くためのチャンスです。

お互いの譲れない価値観を尊重し合うことで、ただのパートナーではなく、人生の共通の目標に向かって協力し合う真のパートナーとなるのです。


自分でも自覚できない価値観を見える化するツール「ドボン診断」

「ドボン診断」とは、自分でも認知していないこともある「譲れない価値観」を見える化するツールです。家族心理学の専門家が監修し、解像度がばらつきがちな「価値観」を共通の指標で数値化します。これにより、一人一人が育ってきた環境や、そこから育まれる「譲れない価値観」を家族心理学の知見から可視化でき、人間関係の改善に繋げられます。

アバター画像

村井 真子

社会保険労務士・キャリアコンサルタント・MBA家業の総合士業事務所にて実務経験を積み、2014年愛知県豊橋市にて開業。LGBTQアライ。著書に『職場問題グレーゾーンのトリセツ』等。

おすすめ記事ランキング

Ranking

1tonariのサービスと解決ソリューション

Service

「1tonari(ひととなり)」では「よく生きること=ウェルビーイングの実現」のため、下記のサービスを展開しています。

  • ドボン診断

    ドボン診断

    自分でも認知していないこともある「譲れない価値観」を見える化するツール

  • 企業人経営

    企業人経営

    経営者と同じように社員が働ける仕組みを整える組織経営コンサルティングサービス

  • アトトリ婚

    アトトリ婚

    中小事業経営者・ご両家の親御様を対象としたお子様の婚活支援プログラム