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「自分にピッタリの相手」と巡り合うためには?:「価値観」の意味を探る

「自分にピッタリの相手」と巡り合うためには?:「価値観」の意味を探る

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1tonariメディア編集部

「価値観が合う相手」とはどんな人なのでしょうか?生涯のパートナーを選ぶには、自分の価値観を知ることが重要です。本記事では、価値観の意味や形成過程を探り、自分にぴったりの相手に出会うためのヒントを考えます。

出会い方や理想とするカップル像が多様化している現在においても、「価値観が合う相手と結婚したい」という感覚は多くの人が共有する感覚の一つでしょう。様々なマッチングアプリで「価値観マッチング」や「価値観で選ぼう」というフレーズが多用されていることからもわかる通り、「価値観」はパートナーを選ぶ上で最も重要な指標の一つとして認識されています。

日本における離婚理由の第一位は「性格の不一致」、つまりは「価値観の違い」であることからしても、生涯のパートナーシップを築くうえで「価値観」は極めて重要な要素であることは間違いありません。

しかし、あなた自身の「価値観」とは何を意味するのでしょうか。特に、結婚という人生のパートナーを選ぶうえで、あなたにとって大切な「価値観」とは何なのでしょうか。すでにマッチングアプリや婚活サービスを利用して、生涯のパートナーを探している人の中でも、「あなたの価値観とは何か」という問いにはっきりと答えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。

「価値観が合うパートナー」を見つけるためには、まずは自分の価値観を知ることが極めて重要です。本記事では、「価値観」という言葉の意味をいくつかの研究を参考にしながら深掘りしていきます。

価値観が近い=親に似ている人を好きになる?

今の日本社会で「自分の父親(母親)に似ている人がタイプ」と公言している人がいたら「ファザコン(マザコン)」などと呼ばれて敬遠されてしまうかもしれませんが、実は「自分の父親似・母親似の相手に惹かれる」という仮説は多くの研究によって支持されています

例えば、ある研究によれば、異性愛の女性は父親の体型と似たシルエットの男性を理想のパートナー像として選ぶ傾向にあることが示されています。類似する研究結果は多数あり、身長、髪色、瞳の色、体毛の量などさまざまな部分において、父親と似た身体的特徴の男性を理想とする人の割合が高い傾向が確認されています。男性を対象とした研究でも、同様の調査結果が得られています。つまり、見た目の好みに関しては、最も身近な異性である父親や母親に似た人に惹かれやすいのです。

もちろん、これは「誰もが必ずそうである」と断定できるような普遍的なものではなく、あくまでも「自分の親の特徴と理想のパートナーの特徴の間に有意な関連性が見られた」という統計上の結果に過ぎません。兄弟姉妹など似たような生育環境で育っても、結婚相手や恋人の容姿が大きく異なることは珍しくないように、これらの研究は多くの人に見られる一つの傾向を示したものとして理解する必要があります。

そのため、「自分の親に似ている人が私にぴったりの相手なんだ」、あるいは「今のパートナーは自分の親とあまり似ていないから、合っていないのかも…」などと過度に一般化して考える必要は全くありません。

ここで重要なのは、幼いころ世話してくれた人の特徴は、大人になってからの異性の好みにも影響するという点です。

価値観は両親の夫婦関係を内面化したもの

「親と似た人を好きになる」という仮説は、体形など身体的特徴だけに当てはまるものではありません。理想的な夫婦像もまた親からの影響を強く受けています。むしろ、こちらの方が前述の「親と見た目が似ている人を好きになる」という研究結果よりも、一般的な感覚に近いかも知れません。

もちろん、親との関係性、親同士の関係性は千差万別ですから、「誰もが親と似た夫婦関係を望む」というわけではありません。とはいえ、少なくとも最も身近なカップルである両親の関係性が何らかの基準になることは間違いないでしょう。

例えば、「どれだけの時間を、どのように夫婦で過ごすか」、「お金の使い方や管理方法」「重要な決定はどちらが主導権を持って、どのように決めるのか」など、生活に関わる根本的な部分については、親夫婦の姿を見ながら成長するうちに「良い/悪い」や「心地よい/不快」という自分の基準が無意識に形成されているのです。この個人の中にある基準は、まさに結婚において重要な「価値観」そのものだと言えます。

パートナーとして共に生活をしていく上で、「価値観があうこと」が大切な要素であることに異論を唱える人はいないでしょう。

一見して自分の好みかどうかを判断できる見た目とは異なり、その人の内面は時間を重ねていく中でしか知ることができません。長く交際していても、実際にその場面になってみないと見えてこない一面もあります。

「新婚旅行で初めて一緒に海外にいったら、感覚が違いすぎて幻滅した」、「家や車を購入する時に揉めてしまい関係性が悪化した」など、特定の場面で価値観の違いが表面化したエピソードは枚挙にいとまがありません。

その上でさらに「そもそも自分の価値観がわからない」という人がほとんどであるため、実際に交際したり、結婚生活を営む中で自分にピッタリの相手なのかを判断せざるを得ない状況があるのです。これは一種のギャンブルと言っても過言ではないでしょう。その結果が、「性格の不一致(=価値観のずれ)」を理由とした離婚件数に反映されているとも考えられます。

逆に言えば、生涯のパートナーを選ぶためには、まずは「自分の価値観」に向き合い、言語化する作業が重要なのです。

親の価値観は遺伝するのか?

では、どのようにして自分の価値観を知ることができるのでしょうか?

先ほど述べた通り、親夫婦の関係性、言い換えれば「両親の結婚に対する価値観」は、子どもである自分の結婚の価値観に強く影響を与えていると考えられます。

結婚に限ったものではありませんが、親の価値観と子どもの価値観の関係性を調査した研究によれば、価値観とは遺伝によってではなく、周囲の環境や経験に基づいて形成されていくという説が一般的です(ただし、遺伝的な「気質」も価値観形成に影響すると言われているため、「価値観は遺伝しない」と断定してしまうことは正確ではありません)。

そもそも、心理学の分野において「価値観」とは、「パーソナリティの構成要素であり、とりわけ意志や行動の方向性を示す概念」と定義されています。そして価値観の形成において、10代の青年期が最も重要であることが示されています。

学校や部活動、アルバイトなどを通じて、かかわりを持つ人の数や属性も多様化する青年期において、人はさまざまな価値観との出会いを繰り返します。自分と全く違う価値観を持つ人とぶつかったり、影響を受けたりしながら、次第に自分の価値観を形成していきます。

そのため、親の価値観は子どもの価値観に影響を与える一つの重要な要素であるものの、単独の決定要因ではなく、親以外の人との出会いも重ねるなかで徐々に形作られていくものです。

親子間で価値観がどのくらい一致するかは、親子関係をはじめ、青年期のその他の出会いなど様々な要因によって変化するため、両親の結婚の価値観が子どもに与える影響を定量的に分析することは困難です。しかし、多くの研究が示している通り、価値観が周囲の環境や経験に基づいて形成されるものである以上、最も身近な存在である親が与える影響は非常に大きなものになると考えられます。

では、自分の価値観を知るためには、親の価値観を知ればよいのでしょうか?

「親の価値観」と「子どもが認識している価値観」のズレ

興味深いことに、大学生とその親を対象にしたある研究によると「子どもの価値観は実際の親の価値観よりも子どもの認知する親の価値観と類似している」ことが明らかになっています。

つまり、子どもは親の価値観をそのまま内面化しているのではなく、子どもが考える「自分の親はこういう価値観を持っているはず」という考えが色濃く反映されているのです。

より具体的には、子どもがもっとも影響を受けているのは「子が認知した母親の価値観」であり、「理論」「経済」「権力」など価値観を分析するために用いられた6つの尺度のすべてにおいて、正の影響(類似する価値観を持っている)ことが明らかになりました。父親の場合は少し減るものの、それでも「子どもが認知した父親の価値観」のうち4つの尺度で正の関係が示されました。一方で、実際の親の価値観で子どもの価値観に正の影響を及ぼしているのは、母親の「権力」に対する価値観のみであり、それ以外の5つの尺度では有意な影響は確認されませんでした。

実際の親の価値観ではなく、「子どもが認知する親の価値観」がより大きな影響を与える理由について、研究者たちは「青年は親の価値観を正確に認知せず、自分が親の価値観だととらえているものを価値観形成において取り入れている」という仮説を立てて説明しています。

これらの研究結果を結婚に当てはめて考えると次のようなことが言えそうです。

①「価値観」は、主に10代のころに周囲の環境や経験に基づいて形成されるため、その時期に最も近くにいる親夫婦の結婚に対する価値観の影響を強く受けやすい。

②しかし、影響を受けるのは「実際の親の価値観」ではなく、「子どもが認知する親の価値観」であるため、自分自身が親夫婦の関係性をどのように認知していたかが特に重要な要素である。

結婚相手を探すうえで本当に重要な「価値観」とは?

前述の通り、「価値観」は結婚相手や恋人を探すときの大切な基準の一つとして考えられています。性格診断やアンケートをもとに「価値観があう相手とマッチングする」ことを謳うサービスは多数存在しており、実際に多くのカップルが誕生しています。

しかし、それらのサービスにおいて重要視されている「価値観」とは、例えば「恋人との連絡頻度」や「理想的なデートの回数」、「共通の趣味」などであり、「自分自身が親夫婦の関係性をどのように認知していたか」までを深掘りするようなものは見当たりません。

確かに、連絡頻度やデート回数は恋人とすれ違う主な原因の一つであり、ストレスなく交際していくためにはこの辺りの感覚が一致していることが望ましいでしょう。また、初対面の相手と新たな関係性を築くうえで、共通の趣味の有無は一つの大きなポイントになるかもしれません。そのため、こうした「デートの価値観」をもとに相手を探す方法もそれなりに効果的だと考えられます。

一方で、これらの要素は、青年期に形成された「価値観」とは異なり、本当の意味でピッタリのパートナーを探す際の決定的な要因になるとは言えません。

例えば、連絡頻度の問題は、相手との距離や自分の状況によって「理想の頻度」が変化することが少なくありません。「遠距離でなかなか会えない時は頻繁に電話をしたかったけど、毎週会えるなら電話はしなくてもよい」、「毎日連絡したいと思っていたけど、仕事で忙しい時期はちょっと面倒…」などという変化は日常的に誰にでも起こり得るものです。

このような観点からすると、「どのような相手が理想か?」「どのような関係性を築きたいですか?」という単純な質問に答えるだけでは、青年期に無意識のうちに形成された「本当に価値観」を知ることはなかなかできないのです。

自分の「本当の価値観」を知ること=結婚に向けた第一歩

「価値観」は恋愛や結婚の話題では必ず言及されるキーワードですが、その意味や範囲が十分に定義されないままに使われてしまっているのが現状です。

そのため、生涯のパートナーを選ぶうえで絶対に譲れない重要なポイントから、「お互い○○が好き」というようなちょっとした好みまでもが「価値観」として語られています。

そこで本記事では、この「価値観」に焦点を当てて、いくつかの研究を参照しながらその意味を深掘りしてきました。

その結果、価値観とは、多感な10代のころに周囲の環境や経験に基づいて形成されるものであり、特に「自分が認知した親の価値観」との関係性が強いことがわかりました。

これは、巷で言われているような「結婚相手は親と似た人の方が相性が良い」、あるいは「親と真逆のタイプがむしろ関係が上手くいく」というような単純な話ではなく、「自分の価値観を知るためには、親自身の価値観だけではなく、自分が親の価値観をどのように認知していたかを知る必要がある」ということを意味します。そうすることで初めて、自分でもわかっていない「本当の価値観」を知ることができるのです。

しかし、現状では「自分にピッタリの結婚相手」を探すときに、「自分が親の価値観をどう認知していたか」まで遡って考えている人はほとんどいないでしょう。

つまり、多くの人は「自分の価値観」にしっかりと向き合うことがないままに、漠然と「価値観の合う相手」を探し始めてしまっているのです。例えるなら、「自分の現在地がはっきりわかっていないのに、目的地を目指して歩き回っている」ような状態であり、これでは迷子(=ピッタリの相手に巡り合えない)のは当然でしょう。

まずは回り道に見えても、自分の位置をしっかりと理解するために、自分の価値観が形成された青年期に目を向けて、「自分が親の価値観をどのように認知していたか」を探ることこそが、迷子にならずにパートナーを探すための近道なのです。


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