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若者の結婚観:傾向を知って相対的に自分を理解する

若者の結婚観:傾向を知って相対的に自分を理解する

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1tonariメディア編集部

突然ですが、あなたにとって「結婚」とは何でしょうか?

広辞苑を引いてみると「男女が夫婦となること」と説明されています。

では、「夫婦」とは何でしょうか?当然ながら、男女が一緒に暮らしていれば必ず夫婦なわけではありません。

法的な定義は別として、戸籍上は夫婦であっても、「あの人たちはすでに関係が破綻している」という場合もあります。

夫婦とは単に「一緒に暮らす」、あるいは「法的に夫婦である」ということだけでは成立しない関係なのです。

社会的に「結婚」がどのように認識されているかは、時代や場所によって大きく異なります。今回は、主に20~30代の若者世代を対象とした研究をもとに、恋愛と結婚研究の動向をひも解きながら、この「結婚」に対する最近の動向を探っていきましょう。

結婚観の変化:結婚するかは個人の自由だけど…?

ある調査によると、「人は結婚するのが当たり前だ」という質問に対して、「自分の考えに近い」と回答した人の割合は、1993年時点では44.6%でしたが、25年後の2018年には26.9%まで減少していました。

現在では、「結婚=当たり前」と考えているのは4人に1人程度しかおらず、多くの人が結婚を人生の選択肢の一つとして捉えていることがわかります。

「○○しなければいけない」「△△するのが当たり前」という強迫観念から解放され、一人一人が自分にあった選択をできる時代になってきたことは「よい変化」と言えそうです。

「嫌だけど、親の期待に応えるために仕方なく…」と望まない婚活をしなければならない世界よりも、「結婚には興味がありません!」という人も胸を張って暮らせる自由な世界であってほしい、というのは多くの人が共感することでしょう。

その一方で、以前も紹介した通り、いわゆる結婚適齢期と呼ばれる34歳以下の未婚者の9割近くが「いずれ結婚するつもり」と回答しています。つまり、未婚者の多くは「結婚するかは個人の自由だけれど、自分はしたい」と考えているのです。

子どもに対する価値観:子どもは欲しいけど…?

同じ調査では、「結婚したら、子どもを持つのが当たり前だ」という意見に対する考えも質問されています。その結果、1993年には53.4%だった賛成の意見(自分の考えに近いと回答した割合)が、2018年には32.8%まで減少していることがわかりました。

つまり、多くの人が「結婚は当たり前」「結婚したら子どもを持つのが当たり前」という昔ながらの夫婦像・家族像に囚われないリベラルな考えを持っていると言えます。

実際に、結婚してから5年~9年が経過した時点で子どもがいない夫婦の割合は、1977年ではわずか4.2%だったのに対して、2021年では12.3%にまで増加しています。

この背景には、晩婚化の影響などもあるため、必ずしも夫婦が子どもを作らないことを選択したケースばかりではないでしょう。とはいえ、子どものいない夫婦の割合が増加しており、もはや珍しい話ではなくなっているのは事実です。

「結婚したら、子どもを持つのが当たり前だ」という考えの人が、3人に1人以下の割合まで減少して、今後もさらに減ると予想される中、「結婚→子ども」という流れもあくまでもライフプランはも選択肢の1つになっていると言えます。

では、「自分の子どもが欲しいか?」という質問に対する若者の回答はどうなっているでしょうか?

調査方法や対象とする年齢層によって結果は異なるものの、どの調査でも概ね6割~7割の人が「将来は子どもが欲しい」と回答しています。

一方で、ある調査によると「実際には将来子どもを持つと思うか?」という質問に対して、「持つと思う」と回答した人は男女ともに4割台であったという結果が出ています。

つまり、結婚に比べると割合は下がるものの、現在でも多くの若者は「将来は子どもが欲しい」と考えているものの、その中のかなりの人は「子どもはほしいけれど、実際は難しい」と考えているのです。

「結婚はしたい。子どもも欲しい。」…でも難しい?

これまでの話を整理すると、「若者の結婚観」に関しては次のような傾向があると言えます。

①結婚や妊娠・出産というライフコースはあくまでも選択肢の一つであり、個人の自由だと考えている。

②個人の自由だが、結婚については約9割、子どもについては約6~7割は「自分はしたい・ほしい」と思っている。

③しかし、実際に自分の希望を叶えられないと考えている人が少なくない。

このような傾向は、実際に未婚率が上昇し、少子化が進んでいることからも裏付けられています。

では、なぜ若者の多くは「結婚して、子どもを持つ」という選択を望みながらも、「難しい」と感じているのでしょうか?

まず、結婚に対しては、多くの人が「結婚できない」「将来結婚しないと思う」と感じる理由として「「恋人・パートナーがいない」と答えています。

一方で、将来子どもを持つ上での障壁としては、男女ともに「金銭的な負担」と「仕事の両立」がトップになっています。

実際に、長期的に続く経済成長が停滞している中で、特に若者世代の雇用や収入は不安定化しています。また女性の社会進出が進む一方で、子育て家族をサポートする体制は十分とは言えず、子育てと仕事を両立しようとすると親(特に母親)に大きな時間的・精神的負担がかかっている状況があります。

このような個人の努力だけではなかなか解消することが難しい社会的な課題の影響もあり、多くの若者が「結婚はしたい。子どももできれば欲しいけど…自分には難しい」と感じてしまっているのです。

困難を一緒に乗り越えられるか?:現代の未婚女性の結婚相手の選び方?

未婚女性を対象に恋愛や結婚について調査したある研究によると、現代の結婚相手(男性)を選ぶ際の基準としては、これまで主流であった「経済状況」と「恋愛感情」に加えて、新たに「子どもに対する意識や態度」が重視されるようになっていることが指摘されています。

この研究で行われたインタビュー調査のなかでは、若い未婚女性は「子どもを可愛がって育てる男性は結婚にふさわしい相手であり、魅力的である」という考えをもつ傾向が明らかになりました。

現代では、「男性は外で働いて稼いで家族を養い、女性が家で家事・育児をする」という昔ながらの形の夫婦は、様々な意味で成立しなくなっています。

その理由こそが、まさに先ほど挙げた「長引く経済不況」と「女性の社会進出」です。

まず、「失われた30年」と呼ばれる時代の中、なかなか思うように給与が上がらない若者たちは、結婚や妊娠・出産しても共働きを選択せざるを得ません。女性も働いている以上、当然ながら「男性も家事・育児を分担すべき」と考える人の割合が増加しているのです。

また、女性の社会進出が進み、さらに「仕事にやりがいを求める」人の割合が増えた結果、「働き続けたい」と自ら望む女性の割合も増えています。実際に、夫に十分な収入がある夫婦でも、依然として多くの女性(妻)が共働きを選択しています。

このような背景から、多くの未婚女性が「子どもに対する意識や態度」を結婚相手を選ぶ際の重要な基準の一つとして考えているのです。言い換えれば、「将来的に子どもを持ちたいけど難しい…」と考える多くの若者が直面している「金銭的な負担」と「仕事の両立」を、一緒に乗り越えられる相手かどうかが、若い未婚女性の結婚相手の選び方になっているのです。

ミスマッチの原因:家事・育児に参加する男性の割合は急増中!

2000年代に広まり、2010年に流行語大賞にランクインした「イクメン」という言葉は、いまではほとんど聞くことがなくなりました。これは、「育児に積極的にかかわる男性(父親)」がもはや当たり前になり、わざわざ「イクメン」などと呼んでもてはやす必要はなくなったからでしょう。

ある調査では、子育て世代の男性の多くが「男性の育児は当たり前でイクメンという言葉自体に違和感を覚える」と回答しています。

実際に、総務省の調査によると男性の家事・育児の参加率は急増しています。2016年時点では、約8割の男性が平日に家事・育児を全くしていませんでした。それがわずか5年の間に急増し、家事をする男性の割合は19.0%から30.9%に、育児は24.4%から35.4%に急上昇しています。

「全体の3割しかしていない」とみることも可能ですが、社会統計の世界では全体の30%の行動が変化すると、「変化が連鎖し、組織の文化を変えるほどの力を持つ」と言われています。つまり、この傾向は今後もさらに加速していくと考えられるのです。

また、この変化は「これまで家事・育児をしていなかった男性の一部が、行動するようになった」ということよりも、「結婚や妊娠・出産により、新しく夫(父親)になった男性が積極的に家事・育児に参加した結果、平均を押し上げた」影響が大きいと考えられます。

ただし、参加率自体は上がっているとはいえ、参加時間は女性(母親)の半分以下であり、「お手伝い」程度の参加に留まっている場合も少なくありません。

その理由としては、「仕事に追われて、育児をする時間がとれないから」(68.2%)、「『育児は女性の仕事』と考えているから」(39.5%)などが挙げられています。

つまり、家事・育児に参加する意欲はあっても職場の環境などから参加が難しかったり、未だに「男は外で仕事、女は家で家事・子育て」という価値観を持っている人も一定数いるのが現状です。

あなたの結婚観は?保守的でも、リベラルでも大切なのはマッチング

さて、これまで見てきた通り、若者の結婚観は急激に変化しており、多くの未婚女性にとっては「子育ての困難を一緒に乗り越えられるか」、つまり「家事・育児に積極的に参加してくれるか」が結婚相手を選ぶ基準の一つになってきています。

男性側もこれに応えるように変化しており、まだまだ女性の期待とのずれは解消されていないものの、全体的な傾向として家事・育児に参加する割合は高くなっています。この傾向は、ここ数年で顕著になっており、今後さらに高まっていくと予想されます。

これらの話を総合すると、若者の男女ともに結婚観は「家事・育児を一緒に行うパートナーになれるか?」という点に大切にしている傾向を見出すことができます。

とはいえ、これは「傾向」であり、「正解」ではありません。

一人ひとりに目を向ければ、結婚相手に望むことは様々です。冒頭に述べた「あなたにとって結婚とは何か?」の答えは、あなたの中にしかありません。

例えば、「男は外で仕事、女は家で家事・育児」というモデルは社会的には崩壊しつつありますが、この形で幸せに結婚している夫婦も実際には数多くいます。

その逆で、女性が一切家事・育児をせずに、男性が主夫として家のことを一手に担っている場合もあります。

中には、家事代行やベビーシッターなどをフル活用して、夫も妻もバリバリ働いている夫婦もいます。

大切なのは、あなたの思い描く夫婦像と将来のパートナーの理想が、「根本的な部分で一致している点です」。

こうした「傾向」やある意味での「モデルケース」を知ることの意義は、こうした「平均的な理想像」を参照にしながら、自分自身の価値観を相対的に知ることができる点にあります。自分自身の考え方を客観的に見つめることで、自分にぴったりの相手に巡り合う際の参考にしてください。


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参照:国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」

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