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「いつか結婚したい」のに結婚できない?未婚者のデータから見る結婚へのカギ

「いつか結婚したい」のに結婚できない?未婚者のデータから見る結婚へのカギ

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1tonariメディア編集部

「結婚しなくても幸せになれる時代…」。某結婚情報誌のキャッチコピーの通り、結婚に対する価値観は時代とともに変化しています。色々な生き方が尊重される多様性の時代が到来し、「結婚をしないと一人前になれない」なんて考えは過去のものになりつつあります。

実際に日本の生涯未婚率は増加しており、男性28.3%、女性17.8%に上ります。一見すると、それでも多くの人が結婚しているように見えるかもしれませんが、例えば日本人の血液型はO型が約30%、B型が約20%ですから、そう考えると生涯未婚者は「どこにでもいる存在」だと言えるでしょう。AB型の人や左利きの人(それぞれ10%)よりも、生涯未婚である方がよっぽど割合が多いのです。未婚率は今後も増加していくと考えられており、少なくとも劇的に下がる可能性は低いでしょう。

一人ひとりの人生に目を向ければ、「結婚しなくても幸せ」な人が結婚を選択しないことは当たり前のように映ります。実際に、未婚者の中にはそもそも結婚に興味のない人、結婚を望んでいない人も存在するでしょう。家族や社会からの結婚に対する圧力が弱まった結果として、結婚をするもしないも自由に選択ができる人が増えることは、健全で望ましいことだと言えそうです。

しかし、日本の未婚率の増加は「結婚願望を持つ人が減ったから」という理由で説明できるのでしょうか?実は、ある調査によると未婚者のうち「いずれは結婚するつもり」と回答した人が男女ともに90%近くに達しており、時代が変わってもほとんど変化していないのです。つまり、日本の未婚率増加の原因は「結婚したくない人が増えた」のではなく、「結婚したくてもできない人が増えた」ことによるものだと言えます。

職場や学校、友人の紹介、お見合いなどに出会いの場が限られていた時代とは異なり、マッチングアプリや婚活イベントなど気軽に出会える機会が増えているなか、なぜ多くの人が「結婚したくでもできない」のでしょうか?今回はデータをもとにその原因を探ります。

日本人は結婚に何を求めているのか?

そもそも、なぜ多くの人が結婚を望んでいるのでしょうか。結婚願望がある未婚者を対象にしたアンケート調査の結果を見ると、「①自分の子どもがほしい」、「②愛情を感じている人と暮らしたい」「③精神的な安らぎの場がほしい」の3つがトップを占めます。ここでは「子どもが欲しい」と、日常生活における精神的な充足を求める「②愛情を感じている人と暮らしたい」「③精神的な安らぎの場がほしい」の2つに分けて深堀りしていきましょう。

「子どもが欲しい」:交際⇒結婚⇒出産の方程式

実は、少子高齢化が進む現在においても、「子どもが欲しい」という人の割合は70%を超えています。未婚者の中にも、「いずれは子どもがほしい」と考えている人は少なくありません。こうした結婚と出産・子育てにかかわる意識調査などの統計データを分析すると、日本においては、依然として「結婚」と「出産・子育て」の結びつきが非常に強く認識されていることがわかります。

日本では、欧米諸国と比較して婚外子の割合が顕著に低い傾向があります。この違いは主に、欧米諸国では事実婚やパートナーシップの制度が整備されていることに起因しています。欧米では、長年にわたってパートナーとして共に生活をして、共同で子育てをしているカップルであっても結婚をしない場合が少なくありません。例えば、スウェーデンでは事実婚の割合が、結婚の2倍近くに及んでいます。日本でも事実婚の認知度は徐々に高まってきていますが、結婚と比較すると税金や相続、各種契約等でデメリットがあったり、面倒な手続きが必要な場面が少なくありません。特に、子どもがいる家庭の場合は、さらに複雑になってしまいます。そのため、何か特別な事情や想いがある場合を除いて、日本では事実婚のまま子育てをするカップルがほとんどいないのです。

こうした法制度の違いの影響もあり、欧米諸国と日本では「結婚」と「出産・子育て」の結びつきに対する意識の違いが生まれています。欧米諸国ではこの二つは必ずしもイコールで繋がっておらず、結婚をせずに今までのようなパートナーシップのまま子育てをする選択肢があります。一方、日本においては「交際」⇒「結婚」⇒「出産」という流れが一般的です。裏を返せば「子どもが欲しい」と考える人は、その前に「結婚」をしなくてはならず、そのためには「交際」をしないといけない、という状況があるのです。

日常的生活における精神的な充足:幸せのためのパートナーシップ

「愛情を感じている人と暮らしたい」、「精神的な安らぎの場がほしい」という欲求は、年齢や性別、性的指向にかかわらず多くの人が抱えているものでしょう。もちろん、「他人と生活することが苦手」という人も一定数いるので一般化はできませんが、愛情を感じられる人、心を許せる人と一緒に生活をすることは、精神的な安定にも繋がります。

ここでポイントとなるのは、「ドキドキしたい」という恋愛モードの考え方と、結婚に多くの人が求めている「精神的な充足」の違いです。結婚しても恋人みたいなカップルに憧れを持っている人も少なくありませんが、結婚生活において何よりも重要視されているのは安心感です。普段から生活を共にしているパートナーにしか打ち明けられない悩み、積み重ねた親密な関係性があるからこそかけられる言葉、あるいは「必ず自分の居場所がある」という自信。こうした関係性を築けるかどうかは、日常生活に対する満足度を大きく左右するものです。

このような関係のパートナーとの暮らしを望む人が多いこと自体は、ある意味で「当たり前」の話と言えるでしょう。このデータで興味深い点は、日本では「幸福のためのパートナーを得ること」と「結婚」の間に深い結びつきがあると認識されている点です。これはつまり、日本においては交際関係や同棲以上の関係性になることが「結婚」として認識されていることを意味していると言えそうです。

なぜ結婚したいのに結婚できないのか?

さて、これまで見てきたように生涯未婚率が上昇し、少子高齢化が進んでいる日本においても、実は多くの人が結婚を望んでいます。また、結婚に対しては、主に「子ども」と「精神的な充足」を求めていることもわかりました。日本においては「子どもが欲しい」あるいは「幸せなパートナーシップを築きたい」という希望を叶えるための前提として「結婚」が捉えられていることは間違いないでしょう。

このような結婚の捉え方が望ましいかはともかく、「結婚しなくても幸せになれる時代」においてもなお、依然として結婚に対する期待は高く、その意味合いも薄れていない状況があると言えます。この前提に立つと、なぜ未婚率の増加に歯止めがかからないのかに疑問がわくでしょう。男女ともに多くの未婚者が「いつか結婚したい」と考えているのであれば、結婚する人の数は増加しそうに思えます。ではなぜ、「結婚したけど結婚できない」人が増え続けているのでしょうか?

結婚の意向がありながら未婚である人を対象としたアンケートでは、「結婚していない理由」について約半数が「適当な相手とめぐりあわない」と回答しており、男女ともに最多になっています。こうした結果を受けて、政府や地方自治体は「総合的な結婚支援」の取り組みを進めていますが、あまり効果は上がっていません。

冒頭でも述べた通り、今や民間主導でマッチングアプリや婚活イベントが溢れかえっている時代です。スムーズにピッタリの相手にめぐりあえるかはともかくとしても、潜在的に出会える可能性のある人数は劇的に増加しており、また気軽になっています。それでもなぜ、めぐりあえないのでしょうか。

実は、この「適当な相手とめぐりあわない」と回答した人のうち、「具体的な相手を探すための行動」を起こした人の割合は、女性では47%、男性に至っては31%に過ぎません。つまり、女性の約半数、男性の2/3以上の人は「特に何も行動を起こしていない」状況のまま、「めぐりあえない」と嘆いているような状況にあるのです。

このデータをもとに「なぜ結婚したいのに結婚できないのか」という問いに対して、あえて厳しい答え方をするのであれば、「相手を探す努力をしていないから」と言えます。

なぜ結婚したいのに、行動できないのか?

とはいえ、これだけ多くの人が抱えている「結婚したいけど結婚できない」という悩みに対して、「相手を探す努力をしていないからだ」と個人の責任にしてしまうのはいささか乱暴な議論でしょう。この問題を更に深堀するために「なぜ行動できないのか?」を考えると、日本が抱える根深い問題が見えてきます。

その中でも最も大きなものが「経済状況」です。すでにメディアなどでも多く取り上げられている通り、日本社会は低い経済成長率に喘いでおり、非正規雇用など不安定な労働環境で働く人も少なくありません。終身雇用制度はすでに崩壊状態にあり、一部の大手企業や公務員などを除いて、多くの若者は数年先の未来を描くことが難しい状況にあります。今の生活に余裕がなく、毎日暮らすことに精一杯な状況で、将来の結婚に向けた行動を起こせないとしても無理からぬことでしょう。

実は、一人暮らしに比べると二人暮らしの方が一人当たりの生活費は安く抑えられるため、パートナーと支え合って暮らす方が経済的には合理的です。しかし、前述の通り、「結婚」と「出産・子育て」の結びつきが強く認識されている日本においては、「子どものいる未来」を描けない経済的状況で結婚をすることに対する抵抗感が根強く残っています。そのため、まずは「幸せのためのパートナー」を見つけて結婚したうえで、ゆっくり子どもについて考えよう、という発想になりにくい点も、婚活のハードルを高めている要因でしょう。

こうした状況を根本から改善するためには、当然ながら、人々が安心して生活し、将来の展望を描ける社会にしていくしかありません。このように「結婚したいけど、行動ができない」という個人の背景には、賃上げや労働環境の改善など国レベルで取り組まなければならない社会の課題が隠れているのです。

自分の中の「結婚観」を見つめなおす

「結婚できない」背景には、日本社会が抱える問題があることは間違いありません。しかし、社会の状況をすぐに変えることはできない以上、本当に結婚を望むのであれば自ら行動を起こさなくてはならないこともまた事実です。

この際に重要になるのは、「自分がなぜ結婚したいのか?」を明確にすることです。この記事では、多くの人が「日常生活における精神的な充足」を求めていることをお伝えしました。しかし、どのようなパートナーシップにおいて「精神的に満たされている」と感じるかには個人差があります。こうした価値観は自分の生育環境、特に親からの影響を強く受けながら形成されるものですが、多くの人はそれを明確に理解していないのではないでしょうか。

世間一般でいう「理想的な夫」、「完璧な妻」、「憧れの夫婦」があなたの価値観と必ずしも合致するとは限りません。むしろ、そうではない場合の方が多いでしょう。

例えば、大手銀行総合職の高収入な男性は一般的な婚活の場では、いわゆる「市場価値」が高いかもしれませんが、誰にとっても魅力的なパートナーかと言えばそうではありません。生まれ育った地元で家族や友人のそばで生活をすることを大切にしている人からすれば、全国転勤があること自体が受け入れがたい場合もあるでしょう。

「料理好きな男性」もモテる要素として取りざたされますが、「料理は全部私がやるから、私の苦手な○○だけはパートナーにやってほしい」という女性からすると全く重要ではない場合もあるでしょう。むしろ、食へのこだわりが薄い人にとっては、相手との価値観の差を感じる原因になるかもしれません。

「女子力」という言葉が示す通り、現代においても「素敵な女性は家事ができる」と言う価値観は根強く残っていますが、それよりも「お互いに仕事を頑張って高め合える関係性」を重視する人もいるでしょう。

「休日に手を繋いでデートをする夫婦」はSNSでは多くの人のいいね!を集めるかもしれませんが、それぞれが自分の趣味を楽しむ時間に充てることで幸せな関係を保っている夫婦も少なくありません。

結婚に向けて動き出すためには、まずは自分の価値観を知り、どのような人を求めているのか、あるいはどのような人とはパートナーでいられないかを知るところから始めることが重要です。

自分の価値観を見つめなおす作業は同時に、結婚に対する意味づけの多様性を知る機会でもあります。「○○だから結婚は難しい」と思い込んで行動をためらってしまっている人は、巷にあふれる理想的な夫や妻のイメージと自分を比較して、後ろ向きになってしまっていることがあります。

しかし、実際にあなたの相手は世間ではなく、一人の人です。お互いが何を大切にしているか、結婚に何を求めているかに立ち返り、どのような人とであれば幸せのためのパートナーシップを築けるかを考えてみてください。


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