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生まれ順で変わる性格のウソ・ホント

生まれ順で変わる性格のウソ・ホント

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1tonariメディア編集部

長男は責任感が強く、末っ子は甘えん坊といった生まれ順による性格の差はどこから生じるでしょうか。本記事では生まれ順による子どもの性格の特徴や生まれ順と自尊感情・孤独感との関連、性格の差が生じる原因について研究をもとに紹介します。

きょうだいの生まれ順による性格の差

同じ親から生まれ、同じような家庭環境で同じように育てられていても、きょうだいは一人一人性格が異なるものです。様々な研究により、きょうだいの生まれ順(出生順)は個人の性格形成に大きな影響をあたえることがわかっています。

影響を与える要因は複数ありますが、親の子育てに関する経験値の違いが第一子と末子では異なることや、生まれ順によって子どもが家庭内で担う役割や地位が異なることなどは有名です。また、子どもの性別によっても親が子に期待する役割は変化します。

さらに、子どもが生まれ育つ地域における文化がどのような生まれ順を重視するかも子どもの性格決定に大きく寄与します。例えば、日本では明治民法に家督相続について定めが置かれ、事実上長子・長男相続の文化がありました。そのため、長男は家を継ぐものとして大きな権利を約束された一方で義務も負うことになりましたが、次男以下の男子には遺産相続の権利はなく、その代わり義務を負うこともありませんでした。

このように、複数の要因があり、きょうだいの生まれ順は性格形成に影響を与えます。ここでは様々な研究によって得られた知見をもとに、生まれ順に見る特徴を説明します。

長子の特徴

長子は、家庭内で「最初に生まれた子」として特別な立場を持っています。親にとって最初の子であり、親に子育て経験がないために慎重に育てられる傾向があります。子どもはしばらくの間ひとりっ子として育ちますが、第二子以下きょうだいが生まれてくると、独占できた親の愛情を分け与えるという状況の変化を体験します。その結果、長子には以下のような特徴が見られます。

  • 自分を自制し、ほかのきょうだいに養護的に接する。
  • 素直で控えめであり、慎重である。
  • 不安な状況になると他人に依存しやすくなる。
  • 他人に同調しやすい。
  • 話し手に回るより、聞き手になることが多い。
  • 面倒なことを嫌う。

中間子(次子、長子でも末子でもない子)の特徴

中間子は、長子と末子の間に挟まれた立場です。きょうだいに関する体験が質・量ともに多いのが特徴ですが、その反面長子・末子と異なり両親からの愛を独占する経験に乏しくなります。両親から無視されていると感じやすく、その一方で長子・末子からの圧力に対抗しなければならなくなるため、欲求不満になります。そのため、中間子は下記のような特徴が見られます。

  • きょうだいの中で影が薄い。
  • 自己主張、感情表現に乏しいか、極端に主張し、感情表現を行う。
  • 親から無視・放任されていると感じやすい。
  • 面倒くさがらずに仕事に取り組むが、よく考えずに行うことで失敗も多い。
  • 気に入らないことがあると黙り込む。

長子、末子に比べ最も多様な成育環境で育つため、典型的なタイプがないというのも特徴です。

末子(最後に生まれた子)の特徴

末子はきょうだいの中で「一番末に生まれた子」という立場にあり、長子とは最も対照的な関係になります。ほかのきょうだいに比べ最も親から甘やかされやすく、姉・兄からもそうである傾向があります。常に家族の関心を集められる環境にあり、かつこうした環境が継続的に続くため、末子には下記のような特徴がみられるようになります。

  • 甘ったれである。
  • 親に告げ口をすることが多い。
  • おしゃベりである。
  • やきもちやきである。
  • 強情で、活動的である。

ひとりっ子(親にとって最初で最後の子)の特徴

ひとりっ子は長子と末子を兼ね備えた存在であり、親から見て唯一の子どもという立場です。そのため、親の愛情と関心を独占することになり、結果として過保護・過干渉を受ける場合も多くみられます。また、きょうだいがいないため子ども同士の関係を家庭内に持つことができず、競争や妥協といった社会的態度を学ぶことが難しくなります。こうしたことから、ひとりっ子には下記のような特徴がみられるようになります。

  • マイペースで自己中心的な言動をしやすい。
  • 神経質で依存心が強い。
  • 社会性・協調性に乏しい。

ただし、こうした生まれ順と性格に関する研究は現在も多角的な議論がなされており、慎重な立場を取る研究者もいることには留意が必要と言えます。また、研究がなされた時代に比べ、現在の成育環境が変化していることによる影響も大きいことが示唆されています。

きょうだいの生まれ順と自尊感情との関連

自尊感情とは、自分自身をどのように見ているか、つまり自己評価のことを指します。心理学用語の「self-esteem(セルフ・エスティーム)」の訳語であり、その高さや強さは、自分に対する価値の感じ方を表します。もう少し簡単に言えば、「自分に対する満足度」や「自分自身への信頼感」と言い換えることができます。自尊感情は自分をどれだけ愛せているかという指標であり、考え方や行動に大きな影響を及ぼします

この自尊感情は親の愛情の感じ方や受け取り方に大きな影響を受けます。親から愛されている実感のある者はそうではない者に比べて自尊感情が高いことが研究で明らかにされており、親がどのように子に愛情を伝えていくかは子の自尊感情を高めるうえで重要です。

しかし、きょうだいのうまれ順と自尊感情には有意な差はありません

ここには現在の社会構造の変化が影響している可能性があります。例えば、人間関係の希薄化が進む現代では、きょうだい同士の関わりも以前ほど濃密ではなくなる傾向が見られます。

かつてはきょうだいの役割や序列が家庭内で強調され、それが性格や自尊感情に影響を及ぼすと考えられていました。しかし、現代では家族間のやり取りが少なくなり、子どもたちが育つ環境も多様化しています。学校や友人関係についても対面以外のコミュニケーションが可能になり、きょうだいを含めない個別の人間関係が形成されるなど、家族外の影響が増大しているため、きょうだいの生まれ順が子どもの自己評価や自尊感情に及ぼす影響は薄まりつつあるのです。

こうした社会的な変化は、子どもたちの成長に新たな意味を与えていますが、一方で家庭内の絆や役割分担の意味が薄れる中で、自尊感情をどのように育んでいくかという新たな課題をもたらしているともいえます。

きょうだいの生まれ順と孤独感との関連

孤独感とは、人間関係において自分がこうありたいと望む状態と、現実とのギャップで起こる感情です。どんな状況で孤独を感じるかは人それぞれですが、その人にとっては孤独は不快な経験であるということは共通しています。単に一人で孤立している状況では必ずしも孤独感を感じませんが、自分がひとりぼっちだと思ったり、理解者がいないと感じるときに孤独感を感じます。

孤独感に関する研究では、孤独感は生まれ育つ過程で幸せであったという印象を持つこと、母親からの心理的サポートの度合いに大きな影響を受けることが知られています。そのため、家庭において子ども自身が愛され、肯定されていると感じながら育つことはとても重要なことと言えます。

きょうだいの生まれ順によって子どもの感じる孤独感に差が出るかどうかを検証した研究では、生まれ順による孤独感の感じ方に有為な差はありませんでした。つまり、研究では親はどの生まれ順の子にも平等に関心を向けており、その結果、生まれ順によって孤独感の感じやすさには差が出なかったと考えられます。

過去には、きょうだいの人間関係は一生続くものであり、親の愛情をめぐって本質的に争いが生まれるものとされていました。しかし、現在は少子化が進み子どもの数が減り、また子どもやきょうだいに関する研究などが人口に膾炙したこともあり、子ども一人一人に対する親の養育態度に差が出なくなっていることが、こうした結果に影響しています。

きょうだいは生まれ順をもとにバイアスをかけて育てられる

私たちは「長男なんだからもっとしっかりして」「お姉ちゃんなんだから妹の面倒を見てあげて」といった言葉を、家族内で一度は耳にしたことがあるでしょう。このような親の発言や態度には、子どもの生まれ順や性別に基づいた期待や役割が込められており、それが子どもの性格や行動の形成に影響を与えると考えられています。

しかし、科学的なデータを見ると、生まれ順そのものが性格や知能に与える影響は意外にも小さいことが示されています。たとえば、アメリカ・イリノイ大が実施した高校生37万人を対象にした研究では、出生順位と性格の間の絶対的な関連の平均は0.02、出生順位と知能の間の平均絶対相関は0.04とされ、統計的な相関は極めて低い数値です。また、同じ両親によって育てられた3人のきょうだいの間で、こうした効果の差はほとんど見られませんでした。

このデータが示唆するのは、生まれ順そのものが性格や能力に影響を与えるというよりも、親の育児態度や期待が、きょうだい間で性格の違いを引き起こしている可能性が高いということです。たとえば、親が長子には「リーダーシップを発揮してほしい」と望み、次子には「もっと自由でいていい」と許容し、末っ子には「甘えん坊でいても構わない」と考えることがあります。こうした無意識のバイアスが、子どもたちに異なる役割認識を植え付け、その結果として性格の違いが生じているのです。

さらに、親が「長男なんだから」「お兄ちゃんだから」という言葉で役割を押し付けることは、長子にとっては責任感や自立心を育む要因となる一方で、プレッシャーやストレスの原因にもなり得ます。同様に、次子が「もっと頑張るべき」という言葉を頻繁に受けると、劣等感や反発心を抱く場合があります。末っ子が「あなたは特別」という過保護な態度で育てられると、依存的な性格が形成されるかもしれません。

このように、親のバイアスが子どもの性格に影響を与えることを理解することで、私たちはきょうだい間の公平な接し方を見直すことができます。親が無意識に持つ生まれ順や性別に基づく期待を減らし、それぞれの子どもの個性を尊重する姿勢を持つことで、きょうだい間の性格や能力の違いがより健康的な形で現れるようになるでしょう。

きょうだいの生まれ順が与える影響を知り、自分を理解する

きょうだいの生まれ順やそれに伴う役割は、親や周囲から無意識のうちに与えられたものですが、これが人格形成に大きな影響を与えることがわかっています。長子としての責任感や末っ子としての甘えなど、これらの特徴は親の期待や育児態度によって強化されます。しかし、こうした価値観や役割意識は、無意識のうちに育まれるため、そのことによって感じる負荷や生じる課題は自分で気づくことが難しいのが実情です。

だからこそ、自分がどのような役割を担い、どのように影響を受けてきたのかを理解することが大切です。自己理解を深めることで、家庭内のバイアスを超えて本当の自分らしさを発見し、きょうだい間の違いもより健全に受け入れられるようになるでしょう。


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